投稿者:1か月過ぎましたさん

  • Q

    手術

    2005.04.02

    2月の終わりに貴院で手術を受けたものです。その節はありがとうございました。
    ある掲示板で以下のような質問がありました。

    株数についてお聞きしたいのですが、5250本で1395株と言われました。平均的に見ると、かなり株数が少ないと思うのですが

    という質問に関してのあるクリニックの返事です。                 

     移植株数に平均はないとお考え下さい。つまり、移植株数が本数に比例する事はございません。例えば、1000株でも株の作成により1000本〜5000本の幅広い本数となります。欧米などの株単位の費用設定をすると、営利的な考えで行った場合は態々株数を増やすような株作成を行う事が出来ます。株数を無益に増やす欠点は、「ロスが増える。」・「休止期にある毛根が取れなくなる。」・「小さな株を作る事により組織のダメージが大きくなる。」などがあります。但し、生え際には自然さを出す為にどうしてもSFUなどの株が必要になります。つまり、ドナー採取した毛根を無駄なく使用し、自然さと濃さを最良のバランスで出す事が、患者様へ最も不利益のない自毛移植術と考えております。当クリニックはこのような意味でドナー採取面積で全て治療費を設定しております。
     丁度、今月中旬に行われる日本形成学会に私が発表する『我々が行うFullicular Unit Transplantation(FUT)法を更に進化させた最新の自毛移植術』の資料を作っていた所です。その中で一番主張する部分ですが、我々が大切に考えるMFUと言う株作成がございます。これは、最近国際毛髪外科でも海外の植毛医が推奨し出したFUGに分類される株です。この株作りを多くするとどうしても株の総数が減ります。しかし、発毛率は非常に高く有用性が評価出来ると考えます。(私の実験では、110〜150%位の数字があります。)FUT法を行えば自由自在に株作成が出来、患者様へ不利益のない術式となる訳で、術者側に悪意がなければ現在世界中の最も安全な精度の高い標準術式となっている訳です。

    FUT法を更に進化させた植毛術とありますが株が少ないほうが進化しているのですか?どうしても疑問に思うので意見を聞かせてください。

  • A

    Re:手術

    2005-04-02

    このご質問について私の意見を箇条書きにします。

    ・少数のFU株と多くのMFU株とミックスさせるのであればその方法にFUTという表現自体使えないと思います。
    従来ミニグラフトと定義されていたものは最近のテキストでマルチフォリキュラーグラフト(MFU)といわれています。ミニグラフトのような大きな株を多用させるのがよいのか否かについて完全に結論が出ておりませんが、多くの植毛医はFUTに軍配をあげております。つまりMFUの方が良いという意見は少数派だろうと思います。

    ・MFUのメリットを列挙していますがそれには多くの反論もあります。
    それをいうならMFUのデメリットにもふれるべきでしょう。
    MFUは大きい株なのでよく見ると自然さではFU株より劣る、スリットが大きくなる分ショックロスのリスクが大きくなる。スリットによる瘢痕化が大きくなる。などのデメリットにもふれるべきだと思います。

    ・従来からあるミニor MFUの多用を“FUTを進化させた”という言い方をして一般の方に印象付けるのは問題でしょう。植毛の専門でない日本形成外科学会の発表は口演ではなくポスター展示の予定です(医師ならわかると思いますがポスターの場合口演の枠外でありどちらかというと注目されない演題が多く、出題が拒否されることもまずありません。またそれについてのディベートもありません)。
    一般の方や植毛の知識が十分でないと思われる医師たちへ一方的に自分達の考えを主張することと、それが正しいと認められることは別の問題です。

    ・わが国では全てのクリニックで手術料は本数で設定されていますが本来は株数で設定すべきかもしれません。海外ではすべてそのようになっています。われわれの仕事量は本数でなく株数によるからです。もちろんドナーの面積にもよりません。仮にMFUを多用しても結果は変わらないか、よりよいとして、受ける方はFUTより株が少なくなった分安い費用で受けられるというメリットが欲しいところです。
    株を多くすることを“営利的な考え”とまで言い切ること自体営利主義と感じます。

    結論から言えばMFU株の多用はよく見ると自然さの点から明らかに劣ると思います。ヘアの細い方はともかく太いヘアの方はなおさらです。もしMFU株の多用でも結果が変わらないか良いと主張するなら株数が少なくてすむ分手術料を患者様に還元すべきだと考えます。

    院長 今川

気になること、薄毛の悩み、
植毛技術のこと等、
お気軽にご相談ください