投稿者:悩み中さん

  • Q

    NHRシステム

    2006.01.07

    NHRシステムとうのをインターネットで見ました。値段だけの比較をすると御社よりも安い気がしました。(安いからいいかどうかは全く別だと思っています。)NHRシステムとうのは御社の方法と違うかと思いますが、先生が思うメリット・デメリットを教えて頂けますでしょうか。宜しくお願いします。

  • A

    Re:NHRシステム

    2006-01-07

    ご投稿ありがとうございます。
    NHRをインターネットで検索しましたがオムニグラフトというオートメーションの機械で植毛を行うシステムです。
    2000年にオムニグラフトは評判の悪かったカルビトロンという植毛機を改良したというふれ込みで、国際毛髪外科学会関連のワークショップでデモされました。
    そこでの評判もまたかんばしくなかったようです。欧米の植毛医はこの機械をほとんど導入しておりません。
    オムニグラフトはカルビトロンのどこを改良したのか?を学会で直接質問したのですが、基本的なメカの変更はないようです。
    どうもその方法を行っている医師はこの分野に参入して日が浅いのか、概して世界トップレベルの植毛についての認識が乏しいようです。
    実際この技法でうけた方々で一般的なスリット方式との比較が可能な方がいらっしゃればそこの所はよくわかります。
    最近執筆した『植毛完全ガイド』から技術的な点を引用しておきます。

    『ホームページなどで植毛のオートメーションマシンについての質問を良く受けますので、ここでお答えしておきましょう。
    7~8年前欧米で数種類のオートメーションの機械が開発されて注目されましたが、最近はすっかり下火になってしまいました。それで得られた結果が今ひとつだったせいだと思われます。ところが最近、フランスで開発された“カルビトロン”とその後継機種を使って植毛をはじめたクリニックがいくつか出現しています。
    この場合、ドナーの採取方法は2つあります。1つはマルチブレードナイフでドナー部位を1cm幅に切り取って、それをヘアートームと名付けられた器具でパスタマシンのように1mmサイズに切り分けた株を作る方法です。もう1つはモーター式の1mm径のパンチで、ドナーから1mmサイズの株を直接くり抜いていく方法です。移植部位はやはり1mm径のパンチで穴が開けられ、作られた株はパイプで吸い上げ、空気圧で運ばれて、そのパンチ穴に自動的に植え付けられます。
    施術者の熟練度に依存しないこと、時間がかからないことなどがメリットではありますが、私はこの方法が良い結果をもたらすとは考えません。何よりもドナー採取の方法が問題です。先に“オープンテクニック”を紹介しましたが、この方法は拡大鏡を使って毛根を確認しながら傷つけないようにドナーを採取するものです。ところが、これらのマシンでは、毛根を確認せずにマルチブレードで切ってしまいます。それをさらに瞬間的に1mmのサイズに株分けするというのですから、FUTの概念はそこにはありません。数年前、FUTのパイオニアの1人であるバーンスティーン博士(R.Bernstein)などは、マシンによる株分けを「ヘアのホロコーストだ」と酷評したほどです。
    モーター式の1mm径のパンチでドナーの株をくり抜くにしても、毛根の切断のリスクが大きくなります。モーターを使わないで皮膚の表層だけをくり抜くFUEにしても、従来20%の毛根切断率があるといわれていました。マシンによる方法は旧来の技術であるパンチ式そのものですから、そのパーセンテージはさらに大きいでしょう。
    植え込みに関してはさらに問題が大きいのではないかと思います。マシンの場合、1mmのパンチ穴に株を植え付けていますが、広く行われている針穴(スリット式)に比べ、次のような欠点があります。
    ①デンスパッキングができない、つまり1c㎡に20株以上植えることができない
    ②頭皮のダメージ、つまり瘢痕化がより大きい(1cm四方に1mm径のパンチ穴を15個入れた場合よりも、1mm径のスリットを50個入れたほうが、よほど頭皮の瘢痕化によるダメージが少ないというデータが出ています。)
    ③ピットスカーを作りやすい
    結論からいうと、ドナー採取、植え込みの両プロセスに問題があるということです。このような理由で植毛先進国アメリカでは、マシンを採用しているクリニックを耳にしません。
    熟練した手仕事と現在の完成度の機械式では、残念ながら同じ次元で語れないほどの差があります。私たちが追求しているのは現在の機械でできるレベルではなく、もっと上のレベルだということです。』

    肝心の費用の点についてですが日本でも植毛が普及してきて競争がはげしくなり費用が下がるのは受けた方への恩恵ですが、①②のポイントはきっちりとおさえて下さい。
    ①基準になる本数の算定が正確か確認すること。
    正確に費用を比較する場合は何株を植えつけるのか?その株のサイズは、つまり一株平均何本か?ということが必要です。
    株数で比較して本当に割安かをチェックしてください。
    ②時々不慣れな医師が慣れるまでの期間としてキャンペーンと称して費用をかなり安く設定することがあります。
    植毛は一回で終了するとは限らず、ましてやオムニグラフトでは1ミリ程度の径のパンチ穴で植えつけるので25%以上の達成密度は難しいはずです。
    2回目以後に通常の費用にもどってしまって経済的に受けられなかったという方もいらっしゃいました。
    2回目以後もその費用設定で行ってもらえるのか否かをきっちりチェックしてください。
    なお①②は特定のクリニックのことを指すのではなく一般論です。

    院長 今川

気になること、薄毛の悩み、
植毛技術のこと等、
お気軽にご相談ください