投稿者:mottoさん

  • Q

    FUE

    2011.08.11

    .先生の所でもFUEを実施されている様ですが、どのような患者さんへの適応が御座いますか。また、実施される患者さんの件数はどの程度の割合いらっしゃるのでしょうか。欠点としてはくり抜いた後が残るそうですが、目立つものでしょうか。
    よろしくお願いします。

  • A

    Re:FUE

    2011-08-12

    motto様

    御投稿ありがとうございます。

    5年前にデンバーのハリス医師のFUEのワークショップに参加してから主に彼のSAFE法を行ってきました。
    欧米ではFUEをFUTと同等のものと考えるグループと、FUTより小さな症例や修正に限定すべきだと考えるグループがあって、私は後者の考えに賛成です。
    FUEの適応は
     ・小さい面積の傷あとなどのようにドナーがとても少なくてすむケース

     ・帯状のドナーの瘢痕を修正するケース

     ・頭皮がとても硬く帯状にドナーが採れないケース

     ・ケロイド体質で帯状にドナーを採るのに躊躇してしまうケース

     ・過去に多くの植毛を行っていて頭髪からのドナーが難しく、ボディヘア植毛(胸毛、スネ毛など)を行うケース

     ・ヘアスタイルをとても短く刈り上げたり、坊主頭にしたいというケース、つまり線の傷が出来るのをどうしても避けたいケース

     ・理由はともかく、本人がFUE以外の方法を選択したくないケース
    でしょう。

    FUEの課題としては

     ・FUEは一度の施術で多くの移植毛を得ることの難しい施術です。海外でも1日で1000株以上行えるクリニックは多くありません。またその場合、ドナー部はとても広い範囲で刈り上げなくてはなりません。

     ・FUEでは線の傷はできないものの、受ける方の体質やパンチのサイズによっては、時に無数の白っぽい虫食い状のハンコンが出来ることがありえます。線の傷はできないけれど、こういうハンコンが残る可能性を考えれば、FUTのきれいな傷のほうがよいと考える植毛医は私も含めて大勢います。

     ・FUTでは、顕微鏡をつかって毛根を確認しながら株分けをしますが、FUEでは毛根を視認できません。そのためFUEで一番毛根切断が少ないとされるSAFE法でも、5%程度の毛根切断は起こるとされています。日本人は、髪が太く、毛根が深い分、毛根切断のリスクがより高くなります。最近、海外では一度に2000株以上のFUEを行うクリニックが登場していますが、それらの症例の毛根切断のデータは?です。

     ・FUTでは、顕微鏡で毛根周囲の組織を毛根と1つのかたまりで株分けしますが、FUEでは株を引っ張り出すため、どうしても毛根組織が裸の状態に近くなります。目に見えるような毛根切断ではなく、小さな傷がつくだけでも質の良い移植毛にはなりません。FUTとFUEで得られた株の質が同じかという点についての議論はまだ決着がついていません。 

     ・FUEは手術費用が割高となり、欧米ではFUEは1株あたりの費用はFUTのそれの2倍程度に設定されております。


    院長 今川

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