投稿者:ダブルヘッダーさん
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Q
5αリダクターゼ1型について
2021.11.08
先生こんにちは。5αリダクターゼ1型について質問させて下さい。
他の医院のサイトにて5αリダクターゼ1型は薄毛に無関係であり、薄毛の原因とされるのは2型のみである。1型についての臨床データはない。よってフィナステリドではなくあえて副作用の強いデュタステリドを使う価値はない。それどころか1型の抑制は未解明な部分が多いので副作用で何が起こるかわからない。という記事を読みました。これは本当なのでしょうか?先生のご意見を伺いたいです。宜しくお願い致します。 -
A
Re:5αリダクターゼ1型について
2021-11-04
ダブルヘッター様
無関係ではありません。5-α-レダクターゼ1型もジヒドロテストステロン(DHT)を産生する酵素であるので、5-α-レダクターゼ2型のみを阻害するフィナステリドよりも両方阻害するデュタステリドのほうがDHTの血中濃度を下げます。ただ、あまりその差を感じるかたは多くないように感じます。
Ⅰ型がⅡ型よりも全身(特に神経細胞)に分布しているため、長期的な影響を心配する専門家がいるのは事実ですが、前立腺肥大症の薬としてデュタステリドが開発されてから20年経ちます。その点を考えると過度に心配になる必要はないのではないかと思います。
医師 内山
ヨコ美クリニック -
Q
Re:Re:5αリダクターゼ1型について
2021.11.05
御回答頂きましてありがとうございます。1型も2型も神経細胞に分布しているとの事ですが、5α還元酵素阻害剤は脳内ステロイドであるアロプレグナノロンを抑制してしまうという報告を読みました。アロプレグナノロンの抑制の結果、脳の神経保護能力が喪失してしまうそうです。アロプレグナノロンの低下は海馬の萎縮を起こしたり、アルツハイマー患者や鬱病患者の脳にアロプレグナノロン量の低下が見られる、といった内容でした。果たして5α還元酵素阻害剤を飲み続けても将来的に認知症や鬱病のリスクが上がらないものでしょうか?
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A
Re:Re:Re:5αリダクターゼ1型について
2021.11.08
ダブルヘッダー様
少なくとも2型は中枢神経にはありません。2型は皮膚(ヘア)、前立腺、生殖器、精巣、肝臓に高濃度に存在するのに対して、1型は低濃度ですが2型の範囲に加えて、中枢神経や腎臓などに広く存在しています。
5α還元酵素はテストステロンからジヒドロテストステロン変換するだけでなく、プロゲステロンをジヒドロプロゲステロンに変換し、ジヒドロプロゲステロンが問題のアロプレグナノロンになります。アロプレグナノロンはGABA受容体(副交感神経を調節したりします)に作用するようです。そのため5α還元酵素阻害薬によってアロプレグナノロンが減少します。長期間服用するとポストフィナステリド症候群(PFS)などに代表されるEDやうつ病などの後遺症が服用を辞めても残ると主張している学者もいました。
ニューロステロイドについてはまだまだ解明されていない範囲だと思いますし、PFSは疫学的な証明はされていないと思います。また大多数の著名な植毛医もその存在に疑問に感じているようです。
心筋梗塞などの心臓病が糖尿病、脂質異常症、高血圧、喫煙などの様々な要因からの長年のダメージの積み重ねで発症するのと同じで、うつ病やEDも様々な要因によって発症します。5α還元酵素阻害薬を飲まされたから、ただそれだけが原因で疾患が残ったという主張は少々乱暴な理論に感じます。
5α還元酵素阻害薬を飲んだらアルツハイマー型認知症のリスクが上がるかと尋ねられると、必ずないとは言い切れませんがリスクは少ないと感じます。少なくとも内服中はEDやうつ病のリスクはあります。薬はリスクとベネフィットをご理解した上で飲むことをおすすめいたします。
ヨコ美クリニック
医師 内山 -
Q
Re:Re:Re:Re:5αリダクターゼ1型について
2021.11.08
具体的かつ非常に細やかな回答をして頂いてとても感激しました。
先生、ご丁寧に対応していただき本当にありがとうございました!
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