投稿者:松さん

  • Q

    無題

    2005.04.28

    切り取られたドナー部を株単位に分けていく中で、使われない
    部分(ユニット外の組織)はどれくらいあるのでしょうか?
    アメリカの植毛関係のサイトで毛髪が見えない(休止期?)
    ドナー部からも発毛する可能性があると記載されてます。
    他院ではこれを売りにしてるようですが、貴院ではどのように
    されてますか?

  • A

    Re:無題

    2005-04-28

    Re: 無題 横美会 -
    ご投稿ありがとうございます。
    株分けの時に休止期のヘアをロスするというご心配の件ですが教科書的には休止期のヘア数は全ヘア数の約10%だと言われています。当院ではフォリキュラーファミリー株以外全て1個1個のFUごとに株分けしております。これが本来の意味でのFUTだとミニグラフトorMFUを多用する場合FUTではなくマルチユニット植毛とよばれるべきです。
    ・最近は欧米のほとんどのクリニック(96~98%)FU株に株分けされていますがその場合でも植えつけたヘアより多め(100~110%)の発毛が認められたという実験結果があります。特にFUで株分けした場合のロスが多いということはありません。
    ・実際にFU株に株分けした後の組織を全て培養してもそこに毛根組織などは全く確認されなかったという報告もあり使われない部分(ユニット外の組織)で休止期のロスがあるという事実は証明されておりません。理由としては休止期の多くは2本毛のうち1本が休止期などという形態だと考えられ全てのFUが休止期の場合は少ないのかもしれません。

    あなたが入手した情報には証拠がありませんし大多数の植毛医はそれに賛同しないと思います。大きな株の方が有利だというニュアンスがあるようですがそれが医学的事実というより他の理由も見え隠れしているようです。私なりに分析すると
    1.ロサンゼルスではFUTの提唱者で私の友人のラスマン医師が有名ですが彼の方法を批判する競争相手の存在
    2.チェーン展開のクリニックの場合大きな株(ミニグラフトorMFU)主体の方が好都合
    などの理由があるように思います。各FUは0.5~1ミリ以上の間隔があります。つまりMFU株では最低2つのFUのサイズ+その間の組織が含まれることになります。必然的に大きな株を入れるためのスリットも大きくなり大きなショックロスのリスクや頭皮のより高度のハンコン化をまねくというデメリットに口をつぐんで大きな株のメリットを主張するのは問題だと思います。
    自分の方法を弁解する理論は説得力をもちません。少なくとも同じ分野の医師達にはそうです。

    P.S あなたの質問の参考になればよいのですが・・・頭皮の全面積のうちユニットの組織が10%、残りの90%がユニット外の組織です。9割のユニット外の組織を全部植え込む方が良いとすると極端な話、昔行われていたパンチ植毛やフラップの方が小さなFU株より効率が良いということにもなります。

    院長 今川




    休止期のヘアについて
    休止期のヘアが全く見えないというのは植毛医の間でも常識のように言われていますが、これは間違いのようです。
    休止期のヘアは成長期のヘアに比べ色素沈着は少ないものの顕微鏡ではほとんど確認できること。
    光をよくあてさえすれば肉眼でも確認できるということです。
    私共もよく色の薄い少し細いヘアを見ますがそれらが休止期のヘアなのでしょう。
    休止期のヘアは普通は成長期が開始するまでは抜け落ちないとも記載されています。
    そうだとすればユニット外に休止期のヘアはほとんどないことになります。
    つまり株を小さくすると休止期のヘアを破壊するという理屈は根拠のないものになります。
    なお、これはFUTの父ともいわれる皮膚科のLimmer博士が1987年に執筆された論文から引用しました。

    院長 今川

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