投稿者:樽尾さん
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Q
火傷や傷跡の患者さんで植毛して生えてこなかった例はありましたか?
2012.08.28
お早い返信有りがとう御座います。
確率でいうとかなり低いようですね。
幼い頃におった火傷と傷跡があるのですが、この様な例は特殊な(実際植え込み手術はしたが、火傷や傷跡の状態が思いの外悪く定着しなかった、発毛が見られなかった)例ということになりますか?
また、先生が今まで携わってきた中で火傷や傷跡の患者さんで植毛して生えてこなかった例はありましたか?
そーいった場合、植毛する前から分からず実際植え込みしてみないと分からないのでしょうか?(火傷や傷跡の外見上では判断できず植えて生えてきたら大丈夫な状態で、定着しないと駄目な状態)
結果論でしかわかりませんか?
また、先生は火傷や傷跡の方も多く救っていらっしゃるようですが、火傷や傷跡は定着しないというお医者様もいらっしゃります。
この違いは何でしょうか?
率直な意見待ってます。
是非お願いします。 -
A
Re:火傷や傷跡の患者さんで植毛して生えてこなかった例はありましたか?
2012-08-30
樽尾様
“特殊な例”で瘢痕をとりあげなかったのはうかつでした。
たしかに多くのヘア治療を行っている医師達は傷あと(瘢痕)への植毛を行っても発毛率は良くないと信じています。
ただ私が学会や出版物を通じて慎重にケースを検討して適切な技術で植毛を行えば発毛率はふつうの薄毛の場合と比べそん色がないことが多いと主張してきましたし、海外の植毛専門医達も私と同様の結論だと思います。
ちなみに国際毛髪外科学会(ISHRS)ではPro Bono委員会というセクションがあり、私は長年そのメンバーなのですが、その委員会では瘢痕のための脱毛に悩んでいるが経済的に植毛をうける余裕がない方々をメンバー全員で討論、選抜しゴ―サインがでた場合には施術費用をサポートするという足長おじさんのプロジェクトを行っています。
植毛が傷あとへも有効だという証拠だとご理解下さい。
・ケースの検討とは?
ある種の皮膚疾患はヘアの再生の中枢(幹細胞)を選択的に破壊するので移植毛が発毛しなかったり発毛してもまた抜けてしまうという事態がおこりえます。
少々専門的ですがこれらのグループを一次性瘢痕性脱毛症といいます。
一方火傷やケガなどによって皮膚が損傷をうけたために二次的に脱毛が起こったものは二次性瘢痕脱毛症といって植毛により良い結果が期待できます。
・適切な技術とは?
瘢痕性組織は血流が悪いのは確かです。そのため通常より植え込み密度を下げます。具体的には当院では30株(60本)/cm2程度に設定してますが、この濃さでさえ達成できてないクリニックも多いと思います。
その他にもいろいろと施術前の注意点がありますがとても専門的になりますので割あいさせていただきます。
瘢痕が二次性のものであって傷をうけてから最低4ヶ月、できたら6ヶ月以上たって炎症症状のないものは良い発毛率が期待できるというのが私の結論です。
ただ瘢痕は周囲が100%の濃さ、瘢痕は無毛なので一回の施術では不十分な濃さだと感じることが多く二回の施術をうける可能性が高いと考えて下さい。
濃さが不十分なことと発毛率が低いこととは違います。
院長 今川
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