投稿者:野良さん

  • Q

    植毛した毛の脱毛

    2016.08.22

    宜しくお願い致します。

    現在幾つかの植毛クリニックや、植毛を経験された記事などを参考にしています。

    そこで植毛クリニックには植毛された毛は永久に生え続けると語る事が多いですが、実際植毛をされた方の幾つかは、植毛された毛が数年で抜けてしまった様子も散見されます。

    この場合、いわゆるAGAに影響しない髪から適切に植毛した場合でも、そのような事ありえますか。またあるのならどのような理由が考えられますか。

  • A

    Re:植毛した毛の脱毛

    2016-08-23

    野良様

    植毛の教科書には“将来AGAで抜ける心配のない安全な範囲から採った移植毛は一生生え続ける”と書かれています。
    つまり植毛はドナードミナンス(ヘアの性質はもともと生えていた場所によって決まり、抜けない運命にある場所のヘアを薄毛の部分に移植しても再び薄くなることはない、つまり採取されたヘアの性質が薄くなる運命をもつ植えつけられた場所のヘアの性質より優先するという原理)で成り立っているということです。
    理論通り私も20年ぐらい前に植毛を受けましたが、移植毛は安泰のようです。
    逆にこれを覆すケースがあるのか?という御質問ですが、私も植毛にたずさわった30年間でそうではないかと考えるケースが2例あったように思います。
    とても珍しいケースですが、長年植毛を行なっているこの分野の“長老”の多くは 同じような事例の経験をもっています。
    移植毛が抜けてしまうという場合一時的なものと抜けて生えてこない永久的なものが考えられますが、ここで一時的なものには触れません。
    原因として考えられるのは
    ・ドナー部位
    安全な範囲を逸脱した高い位置から移植毛が採られたケースが見受けられますが、そのような場合に起こります。
    ・ドナーの状態
    ドナー部をよく見ると産毛化した細いヘアが混じった方がいらっしゃると、植毛をうけたあとでそれらが脱毛することがあるとされています。
    “びまん性非定型脱毛症”と呼ばれるこの状態は、女性のびまん性脱毛症と似た状態だといえます。
    ・年齢
    老人性疎毛症といって60歳代になるとドナー部のヘアが細くなり少し抜けてきます。
    この場合には植えつけ部分もそのようになってしまいます。
    もう一つヘアの周期は2~6年ですが、ご存知のように株の多くはいったん休止期に入って抜けてしまいそのあと新しいヘアが発毛してきます。
    ヘアサイクルの数は決まっているので、理屈からいえば移植毛は次のサイクルのヘア、言い換えれば既存毛より2~6年分の1周期分寿命が短いヘアともいえます。
    ・株のサイズ
    植毛は歴史的には大きな株から次第に小さな株になり、最近の小さなパンチをつかうFUEではさらに株は華奢になっています。
    目に見えない小さなダメージをうけたそのようなごく小さな株がそのような短命に終わる原因でないかという仮説を述べたカリスマ植毛医がいますが、真偽のほどはわかりません。

    植毛の歴史は他の分野と比べるとごく短いと言わざるを得ません。 
    そのため全ての疑問点が100%解明されているわけではありません。
    まだまだこのような未知な部分があると思います。

    ヨコ美クリニック
    院長 今川

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