投稿者:9120さん
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Q
どんな差?
2005.10.04
植毛クリニックのHPをサーフィンしていたところ、一度に9120本の植毛をこなせると謳うクリニック(カナダ)を見つけました。その根拠がファジーな表現(技術力、経験、熟練スタッフなど)のため真偽の程は不明です。
このクリニックを統括されているDr.Jerry Wong 医師について、今川先生も学会等でご存知ではないかと思い、投稿させていただきました。このDr.は、毛髪移植の先駆者であるMario Marzola医師と共に、International School of Hair Surgeryで、最新のグラフト技術とドナーパーツ技術(後頭部の毛髪を切り取る技術)を研究開発したと紹介されています。文章だけ読むと今川先生のそれと何ら差がないと思うのですが、このクリニックでは9120本の1回植毛が可能であるが、日本ではまだ2回以上に分けて行われている点を強調しているようです。そこで伺いたいのは、今川式植毛法と何が違うのか、植毛回数が違うのはなぜか、このDr.は世界的に著名な方なのか等、今川先生なりのご回答を頂ければ幸甚です。
もちろん、私は今川先生のところで施術を考えている者ですが、自毛植毛がグローバルスタンダードになってきた昨今、それぞれの特徴や差を知りたいと考えました。
よろしくお願いいたします。 -
A
Re:どんな差?
2005-10-04
Re: どんな差? 横美会 -
ご投稿ありがとうございます。
Wong先生のことは良く知っています、というより親しい友人です。
彼は一度に多くの本数を植えること、高密度に植えることで有名です。
彼のテクニックの特徴は
①多くのドナーを採取すること
②厳密なFUTを行なうこと
③スリットをコロナールにすること
④デンスパッキングに努力する。そのために植え付ける範囲を剃ってしまうこと
などでしょう
①9000本の件ですが、彼はドナーを2cm巾にデザインして、最大60c㎡程度の面積を採ります。
白人は頭皮が柔らかくケロイドもごくまれなので、2cm巾に採れるかもしれません。
ただ彼の師であるDr.Marzolaは1cm以上の巾で採らないほうがいいと言っておりますし、私も1.2cm以上採ることは反対です。
白人のドナーは200~220本/c㎡といわれ日本人よりずっと密度が高いので、同じドナーを採っても多く採れるわけです。
(日本人は後頭部160本/c㎡、側頭部112~120本/c㎡で、平均140本/c㎡)
大体東洋人は白人の70%程度の密度だといわれています。
つまり白人で9000本なら私達日本人は6000本強になります。
9000本の例も知っておりますが、もちろん白人です。
いつも9000本とれるわけではなく、最高記録が9000本だったと理解してください。
②彼は全てFU株を使っておりますし、より大きな株であるMFUにはとても批判的です。
これは私と同意見です。
私は彼のクリニックで手術も見学しましたし、結果も拝見しておりますが。おっしゃるように彼のテクニックは大変すぐれていると思います。
彼のやり方は剣道に例えるとどちらかというと“居合”のようで、“最初の一太刀”にかけるような所があると感じました。
ドナー2cm巾だと次回はどうなのか?傷は?12時間以上かけて手術を続ける場合、スタッフや受ける方の疲労や集中力は?など批判も多くあるのも確かです。
院長 今川
Re: どんな差? 9120 -
今川先生、大変詳しい解説を頂きありがとうございました。
よくわかりました。特に2cm幅のリスク、長時間の集中力、
この二つだけでも自分なりに是非がつきました。
近いうち、よろしくお願いします!
横レスすいません M -
デンスパッキング(高密度の植え込みと思います)を行う場合において質問させて下さい。
①植え付ける範囲を剃ってしまうと剃らない場合と比べて、メリットがあるのですか?
②そらない場合は、ショックロス等のデメリットが生まれるという意味でしょうか?
③剃るということは、バリカンで短髪ではなく、かみそり等で剃ると理解してよろしいでしょうか?
宜しくお願いいたします。
Re: どんな差? 横美会 -
①既存のヘアが多いと視野がさまたげられてデンスパッキングしにくいのは事実です。
つまり剃ると植え付け範囲が見やすくなります。
②剃ってデンスパッキングする場合ショックロスのマイナスにはある程度眼をつぶって植え付け密度達成を最優先するということだと思います。
既存のヘアの間にコロナールでデンスパッキングするとかなりのショックロスを覚悟しないといけないと思います。
③バリカンで2~3㎜にするという意味です。
欧米ではごく短いヘアにすることも“shave”といいます。
それを“剃る”と表現しました。
院長 今川
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