• Q

    植毛した部分のニキビは問題ないでしょうか?

    A

    1か所か2か所なら誰にでも起こり得るもので、心配する必要はない。
    ひどい場合には、抗生物質の服用が効果的

    植毛した場所のニキビは、術後1ヶ月頃から、3~4ヶ月後まで発毛の時期によく見られるものです。小さなものが1か所か2か所ポツンポツンとできるくらいなら、おそらく植毛手術を受けたほとんどの方が経験しているでしょう。
    たいていの場合、放っておけばすぐに治り、自然に赤みも取れますが、次々にできるのは不愉快なものでしょう。それでも通常は発毛が終了する6ヶ月以降になると、だんだんなくなっていきます。


    これは私のクリニックで植毛手術を行った方ではありませんが、以前受けたご相談の中で、植毛した部分に1cm2くらいの腫れが起きてしまったという方がいらっしゃいました。
    その方が別の皮膚科で診察を受けたところ、内方発育毛(皮膚が植えた株の上を覆ってしまい、毛が抜け出られなくなったせいで、毛が皮膚内で成長し、炎症を起こしてしまった状態)と診断されたといいます。
    植毛した部分にニキビができる原因については、いくつか考えることができます。


    まずひとつ目は、受けた方の体質的な要因です。顔にできるニキビなどと同様、どちらかといえば乾燥肌よりも脂性肌の方に多くなっているようです。日本人のほうが欧米の白人より多いといわれています。


    2つ目は外的要因で、気温の高い時期はニキビができやすくなります。またカツラを使用しているケースではどうしても蒸れやすく毛のう炎をおこしやすいので注意が必要です。


    3つ目が技術的な要因です。これは株を必要以上に深く入れたり、植えた株に何らかの汚染があった場合に起こりやすくなります。
    手術用ゴム手袋のすべり止めとして使われるパウダーでさえ、株に付着するとニキビの原因になるといわれています。長時間の手術中は、株をなるべく外気にさらさないとか、触らないなどの注意が必要となってきます。実際にはそうすることで、数年前に比べてニキビの出現は圧倒的に少なくなりました。
    いずれにせよ、できてしまっても数か所であれば心配ありませんし、あまり神経質にならず、シャンプーもどんどんしていただくとよいでしょう。普通のニキビと同じように、よく手を洗って自分でつぶしてしまってもかまわないほどです。


    ただ、あまりたくさんできて心配な場合は、やはり一度、診察を受けた方がいいかもしれません。一般的には抗生物質の外用・内服で比較的簡単に改善します。


    なお、普通にニキビができた部分だけ発毛しないということもあまりないようですので、このことについても心配することはないと思います。