-
Q
植毛したヘアは抜けませんか?
A
植毛の前提はドナードミナンスの理論。
ヘアがもともと持った運命は場所を移動しても変わることはないヘアの1本1本は、一定の間隔を置いて成長と脱落というサイクルを繰り返していて、このサイクルを「毛周期」とか「ヘアサイクル」といいます。
つまりヘアにも寿命があるわけで、その毛周期は次のような段階を繰り返すことになります。
(1)アナゲン (Anagen=成長期)
(2)カタゲン (Catagen=退行期)
(3)テロゲン (Telogen=休止期)
成長期は2~5年、平均で約1000日続きます。この成長期には、毛乳頭や毛母細胞に血液を通して栄養分が供給され、毛芽細胞が次々に分裂して毛ケラチンなどを形成し、ヘアを上へ上へと押し上げていきます。
退行期に入ると、下部の毛組織が萎縮して生成をストップし、ヘアは抜け落ちはじめますが、下部の組織がさらに萎縮すると、そのFUは休止期に入ります。この休止期は冬が来て地上の茎や葉が枯れてしまっても、じっと次の春の訪れを待ち続ける球根によく似ています。
全体のFUのうち、成長期にあるのは約90%で、残り10%に当たる約1万のFUは休止期、つまり冬眠状態にあるといっていいでしょう。この休止期間は数カ月続き、その後、そこから再び新しいヘアが生えてくることになります。
このようにそれぞれのヘアには寿命があるのですから、抜け毛が1日100本ぐらいあってもとくに驚くことはありません。ただ、抜けるヘアがそれ以上増えてくると、再生が追いつかずに薄毛が目立ってくるということになります。男性の薄毛の場合、ヘアラインからつむじにかけてはどんなに脱毛しても、側頭部から後頭部にかけては抜けずに残っています。
植毛は抜けない部分のヘアを薄くなった場所に移動(リロケーション)する作業で、「ドナードミナンス」という理論を前提に行われています。これは、ヘアの性質はもともと生えていた場所によって決まることから、抜けない運命にある場所のヘアを薄毛の部分に移植しても、再び薄くなることはない、すなわち「ドナー=提供者、採取したヘア」が「ドミナント=薄くなる運命を持った場所の性質より優先する」ということです。
つまりFUは1個1個が遺伝子情報を持っており、男性ホルモンに過敏に反応して抜けてしまうものと、そうならずに成長し続けるものがあって、それをドナーとして薄毛部分に移すということになります。
また、「植毛したヘアは数年でまた抜けるのではないですか?」という質問をよくいただくのですが、その心配が無用なことは、植毛の60年にわたる歴史が証明しています。