投稿者:nさん
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Q
株数
2006.03.28
非常にわかりやすく丁寧な説明のサイトで参考になります。
ただ、更に少々お聞きしたいことがありましたので、
いくつか質問をさせてください。
1.株数について
他院で、生え際に移植された方の例を拝見したのですが、
密度が50パーセント以上とありました。
この数字自体は、院によって計算方法が違うので
あまり意味はないと思いますが、
株数で見ると1平方センチ当たりに、
35株程度ということでした。
こちらのクリニックでは、30株程度がMAXということでしたが
35株でしていただくことは、患者が希望すれば
可能でしょうか?
また、高密度で植える場合の移植範囲の限界は
どのぐらいになるとおもわれますか?
2.発毛率について
小さい株を使うことで、自然さを出すというのは
わかったのですが、比較的大きい株を使うことで、
休止期にある後頭部の毛根も発毛させられる
可能性があり、結果として100パーセント以上の
発毛が見られると、他院ではありました。
これについてどのようにお考えになられるか
お答えいただければと思います。
よろしくお願いします。 -
A
Re:株数
2006-03-28
ご投稿ありがとうございます。
・植えつける密度について
高密度植毛は最近のトレンドですが海外では最大で40~50FU/c㎡という報告もあります。
当院の場合植えつける範囲全体ではやはり30FU/c㎡くらいが上限でしょう。
もっとも狭い範囲に限って、しかも1本毛など小さな株であれば50株/c㎡程度は植えつけられると思います。
50%とか35株/c㎡という数字がPR目的で一人歩きしているようですが、どんなサイズの株か(最近のほとんどの学会の発表はFU株になっております)?、%の場合では分母は(白人では100FU/c㎡、東洋人では80FU/c㎡が100%です)?がはっきりしないと議論が出来ません。
それが本当なら実際に35株/c㎡を達成したということはすばらしいことですがホームページ上以外いっさい目にしておりません。
一般の方にPRする前にまず学会など公の場で事実の詳細を公表すべきだと思います。
・発毛率について
休止期のヘアの多くは拡大鏡を使ってよく見ると確認されますし、それらが見えないというのは正しくありません。仮に見えないとしても、多くは2本毛のうち1本が休止期で1本毛に見えるなどのことが多く(もちろんその場合1本毛は理屈では見えないことになりますが)すべての休止期のヘアが株分けでロスになるということはありえません。
また植えつけた本数より発毛した本数が多かったという実験結果は数個の論文に見られますがなにも大きな株だけのことではありません。
FU株でも同様の数字があります。
大きい株の方が発毛率がよい、つまりその方が効果がよいと恣意的にインターネットにPRするのはどうかと思います。
私が以前マルチクオリキュラー株を批判した投稿がありますが、参考にして下さい。(過去ログ7526)
7526
ご投稿ありがとうございます。
MFU株(マルチフォリキュラー株)というのは、1つの株に2つ以上のFUが含まれるもので、以前のミニグラフトと同義語です。
世界中のほぼすべての植毛医が一部または全部にFU株をつかうようになったので、そのような名称にかわったわけです。
ずっと以前のパンチグラフトもMFU株に含まれます(過去ログNo.6928・6955)。
FUは1m㎡に1コ程度存在しております。
MFU株は最低2コのFUとその間の頭皮(FU同士は0.5~0.8㎜の距離があります)も含まれますから大きな株になります。
当然大きな株をうえこむために大きなスリットが必要です。
MFU株のデメリットは
①自然さで劣ること
ヘアが細い方、ツムジなどに植えた場合は気付かれませんが、ヘアラインはMFUを入れると不自然だと思います。
もちろんこれに気づかない方は多いかもしれません。
インターネットの写真ではこれも一見わかりにくいのですが、拡大鏡などをつかってアップにするとすぐにわかります。
FUTやFUEの提唱者でカリスマ植毛医のラスマン博士は以前あなたと同じ質問に対して
「医師がMFU株をつかう理由は、彼らがFUTを学ばなかったり、実際に行なう努力ができなかったのか、それをしようとしないためです。
彼らは明らかに結果がちがうのに同じだと主張していますが、国際毛髪外科学会の患者のデモにおいてMFU株は明らかに劣っています。
MFU株の支持者が劣っていないと信じたいのは『裸の王様』の物語のようです(まわりの人は服がなくて笑っているのに本人だけが立派な服だと信じている、という意味だと思います)。
シェークスピアいわく、『たとえ他の名前をつけられても本物のバラは甘くにおうだろう』MFU支持者はこの有名なフレーズを勝手に言い換えるつまり『造花のバラは遠くから見ると本物そっくりだ』と・・・」
私も以前はFUとMFUをミックスさせておりましたがラスマン博士や多くの尊敬できる植毛医と同様なるべくMFUをつかわないようにしております。
MFUを多用する植毛医は自分の薄毛を改善したい場合絶対に自分にはそのテクニックはつかわないだろうと思います。
私は当然のことですが自分がうけたい手術を患者様にも行なうべきだと考えます。
②スリットが大きいのでショックロスのリスクが大きいこと。
③ 〃 植え付け部分の瘢痕化が大きいこと。
④ 〃 眼のハレのリスクが大きいこと。
です。以上は反対にFU株のメリットになります。
MFU株のメリットは
①同じ本数で株の数が少なくてすむ、つまり手術時間も短くなること。
②一株いくらでの料金設定がされていると手術費用がFUTより安くなること。(これは欧米でのメリットですが日本ではそうでもないようです)
③MFU株は大きく丈夫でデリケートな操作の必要がより少ないこと。(つまり経験が少ない植毛チームにも扱いやすい株だということです)
④FUの間の頭皮も株に含まれているのでそこに存在する休止期のヘアのロスが少ないと考えられること。(この考えを裏付ける証拠はありません。実証されないことを根拠に良い悪いをうんぬんすること自体ナンセンスです)
以上の反対はFU株のデメリットです。
結論からいうとMFU株を用いることでのメリットは主に手術をする方にあって、うける方にはほとんどないということです。
小さい株の方が同じ面積に多くの本数を植え付けにくいのは確かですが同じ本数を植えられれば大きい株の方が濃く見えることはありません。
また発毛率についてですが小さな株の方がより慎重な管理が必要とされますがもしそれが可能ならFU株とMFU株の発毛率に差はないと思います。
院長 今川
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