女性が薄毛になる
メカニズム
女性の薄毛には様々な要因がからんでいることが多いです
女性が薄毛になってしまうメカニズムは、実はまだよくわかっていませんが、女性の薄毛にはさまざまな要因がからんでいることが多いと言われています。
過度のダイエットや重度の貧血などでも、髪が抜けることもありますし、甲状腺や卵巣など内分泌系の疾患があると髪に影響します。
また、ある種の薬を飲んでいると薄毛が起きることがあります。
例えばピル(経口避妊薬)や精神疾患などに使われる向精神薬も薄毛を誘発することがあります。
食生活、ストレスもヘアと無関係ではないでしょう。
ですから、まず薄毛の原因がどこから来ているのかをできるだけ特定して、まずその治療を行うことが先決です。
女性のAGA
女性のAGAはルードウィッグ型、クリスマスツリー型、ハミルトン型
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男性型脱毛症を「Male Pattern Hair Loss(MPHL)」というのに対し、女性型脱毛症は「Female Pattern Hair Loss(FPHL)」と呼びます。
MPHLはAGAと同義語ですが、FPHLは女性のAGAと、それと別のグループの薄毛も入っています。その代表的なものは休止期脱毛症ですが、加齢による薄毛も含まれます。これは誰にでも起こる自然な変化です。
まず女性のAGA(Female AGA。以下「FAGA」と略します)から説明しましょう。
FAGAは、ルードウィッグ型、クリスマスツリー型、ハミルトン型と3つのパターンに分類されています。一番多いのがルードウィッグ型で、生え際の後退は なくヘアラインは保たれているものの、頭頂部から後頭部の範囲がびまん性に薄くなっていくタイプです。
ルードウィッグタイプは進行の度合いによって図のように3つのクラスに分けられます。
クリスマスツリー型は生え際から頭頂部の真ん中が、ちょうどクリスマスツリー状に左右に枝を広げたように薄くなっていくタイプです。別名オルセン型ともいいます。
FAGAハミルトン型は男性のAGAと同じ生え際にそりこみが入ったタイプです。FAGAについては、米国の25〜40歳の女性の4分の1、40歳以上で半分がその傾向にあり、20歳後半から始まって、50歳代がそのピークで、20%の人に家族歴があるといわれています。
母方の遺伝というのは俗説で、両方からの遺伝が複雑に関係しているようです。原因についてははっきりとはわかっておらず、ホルモンの関与は確実なのですが、そのメカニズムは男性とは異なります。
男性の場合は血中ジヒドロテストステロン(DHT)の値が上がり、それが発毛を阻害することによって起こりますが、女性は血中ジヒドロテストステロンレベルが上がっていることはごくまれです。
そのため、プロペシアが効かないケースがほとんどです。
FAGAと思われる多くのケースでは、各種のホルモンを測定して異常値が出ることはあまりないので、生理不順、不妊、多毛症、乳汁分泌などの症状がなければ、ホルモン検査は不必要とされています。
なお、ヘアカラー、パーマ、シャンプーなどのヘアケアが悪い影響を及ぼさないのは男性の薄毛と同じです。
休止期脱毛症
毛周期が乱れ、休止期の毛が増える脱毛「休止期脱毛症」
FPHLの2つ目のグループは、「休止期脱毛症」です。
髪、体毛は成長期、退行期、休止期を周期的に繰り返して生え変わります。この毛周期がなんらかの原因で乱れ、休止期の毛が増えることによる脱毛が「休止期脱毛症」です。FAGAでは側頭部は薄くなりませんが、休止期脱毛症の場合、そこも薄くなります。
休止期脱毛症の原因については、栄養障害、薬剤によるもの、その他疾患によるものがあります。 栄養障害は鉄欠乏性貧血、亜鉛の欠乏、血清鉄低値、その他たんぱく質を極端に制限したダイエットなどです。
薬剤性のものは、ビタミンAの過剰摂取、高プロラクチン血症を起こす薬剤、抗血液凝固剤、経口避妊薬、抗けいれん剤、向精神薬が挙げられます。
疾患性のものとしては高脂血症、甲状腺機能低下症、甲状腺機能昂進症、肝機能障害、慢性腎不全、 がん、膠原病、梅毒などが挙げられます。その他、分娩によっても起こるし、インフルエンザ、肺炎、 百日咳、猩紅熱などの発熱によっても脱毛は起こります。急性のストレスによって起こることもあります。
これら休止期脱毛症は、次の3つに分類されています。
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・急性休止期脱毛
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ストレス、高熱、貧血、分娩後のホルモンバランスの乱れなどによって起こるもの。
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・慢性休止期脱毛
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中年女性に6ヶ月以上つづく、原因不明のもの。
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・慢性びまん性休止期脱毛
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内臓疾患のためにおこり頭部全体にゆっくりと進行するもの。