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植毛コラム

第11回コラム育毛・発毛について

ちまたには多くの育毛剤・発毛剤があふれていますが世界で最も権威がある米国食品医薬品局(FDA)は男性型脱毛症(AGA)に有効だったという証拠がある治療法は植毛などの外科治療とフィナステリドとミノキシジル外用薬の2つの薬物だったと結論づけています。
FDAはAGAへの適応が認証されている薬としてこの2つをあげたわけですが、認証をうけていない薬やそれ以外のものが無効だと言っているわけではなく、公正な第三者がその有効性を証明していないということです。
今回はこの2つと、有効性は確認されているがAGAへの適応がないミノキシジルタブレットとデュタステライド、それと多くの欧米の植毛医が有効だと信じて勧めているケトコナゾールシャンプーの5つの製品について述べていきます。

フィナステリドについて

フィナステリド…飲むタイプのAGA治療薬「プロペシア」の有効成分

フィナステリドは男性ホルモン(テストステロン)をAGAの原因物質とされるDHT(ジヒドロテストステロン)に変換する5αリダクターゼⅡ型酵素を阻害し血中DHTのレベルを下げる薬です。
製造元のデータによるとこの製品は90%以上の方に有効とされ、服用後3ヶ月ぐらいで抜け毛が減ることが自覚され、6ヶ月以降に濃くなっていくとされています。
2年間の服用でツムジへは3分の2の人が服用前より濃くなり、のこりの3分の1の人が現状維持、一方ヘアラインへは4割ぐらいの人が服用前より濃くなるとされていますがそのほとんどは“少し濃くなる”程度でツムジに比べると大分その効果は落ちるようです。

副作用について

有名な副作用としては50人に1人の割合で勃起困難や性欲減退などの男性機能低下が知られており、その他アレルギー反応、乳房の肥大、睾丸痛、肝機能の異常などがごくまれにあるとされています。
男性の服用では胎児に影響はないが、女性の服用では男子胎児の奇形というリスクがあります。
もっとも女性がフィナステリドを服用しても好ましい効果が得られたというデータがないため当院は現在のところ女性への処方は行っていません。

デュタステライドについて

デュタステライドは5αリダクターゼのⅠ型とⅡ型の双方を阻害し、現在前立腺肥大の薬として処方されています。

理論上DHTの血中レベルを下げる作用はフィナステリドより強いので、より発毛効果が期待され、実際に韓国ではヘアへの適応が認証されています。

ミノキシジル外用薬について

1988年にFDAによって最初に認可されたヘア治療薬で海外では2%、5%、日本では1%、5%(商品名リアップ)が発売されています。
AGAだけでなく女性型の脱毛症にも処方されます。

  • ● メカニズムは毛母細胞のカリウムチャンネルの活性化、血行改善etc.といわれていますが完全には解明されていません。
  • ● 有効だったケースでは使用して4ヶ月目くらいから濃くなっていくといわれています。 外用薬のためかフィナステリドより効果が低いのですが2%より5%の方が効果が高いことが証明されており、その意味では現在市販されているリアップの効果は少々物足りなく感じます。
  • ● 副作用としてはアレルギー反応によるカブレが一番多く、手足、眼瞼のむくみ、体重増加などがまれにおこるようです。 それと循環器への副作用である動悸、めまい、息切れなどの症状を1000人に1人の割合でおこすといわれています(アメリカの報告)。
  • 5%の製品はやや油っぽいので特に細いヘアの場合使用後にボリュームが極端に少なくみえることがあり、朝には使用しづらいという訴えもありました。
  • ● 2年前から過敏症の方のために5%フォームタイプが登場しました。 このタイプは使用感も液体のものより良いという評判です。
  • ● ヘアラインへの効果がとても弱く、12% orそれ以上の「ザンドロックス」という商品がこめかみやヘアライン用に入手できますがその効果のほどは不明です。

ミノキシジル内服薬について

もともと外用薬はこのミノキシジルタブレットという血圧を下げる薬からつくられました。
つまりこの服用でヘアがふえるという点に着目して開発されたのがミノキシジル外用薬です。

FDAはこれを発毛のためにつかうことを適応外として認めておりません。
そのため欧米の植毛医達は発毛のための服用に批判的ですし私も同様の立場でしたが、一昨年当院で行われた国際毛髪外科学会の「アジア人の頭髪外科」というワークショップでこの薬品の効果が一躍注目されました。
タブレットは腸管から吸収されるため外用薬よりパワフルな効果が期待され、有効なケースでは3~4ヶ月以降に濃くなっていきます。

発毛のために高血圧の薬を長期間飲み続けるのは問題ないのか?という点について
―発毛のための服用必要量は高血圧の方への最大服用量の5%以下と非常に少ないので副作用は事実上まれだと考えられる。
―マスコミを通じて盛んに“医療発毛”をPRをしている某クリニックではルーティンにこの製品を使用しているが現在まで副作用について問題になっていない。
―東南アジアではこの製品をつかった多くのケースがあるが副作用について問題になっていない。
などの諸点を考慮して私は注意深くこれを使用すればメリットは大きいと確信するようになりました。

ケトコナゾールシャンプーについて

ケトコナゾールはもともと真菌(水虫などのカビ)の薬ですがフケの原因がマラセチアというカビだということが判明してからそれをシャンプーに応用した製品です。
1%と2%の濃度のものがあり皮脂をよく落とし、フケ症や脂漏性皮膚炎の方にはとても良いシャンプーだと思います。
欧米では爪白癬の治療薬としてケトコナゾールの内服薬もありますが、内服薬でAGAの原因物質DHTの血中濃度を下げることからシャンプーもAGAに有効と信じられるようになりました。
アメリカでは2%ミノキシジルと同等の効果があるという報告もあるようです。
FDAはケトコナゾールシャンプーのAGAへの有効性を認証してはいませんが、シャンプーは日常的に使うものですしどうせならヘアによいとされるものを使った方がいいと思います。

育毛・発毛の問題点とは?

フィナステリドが割高なのは頭痛の種です。
アメリカでもフィナステリドがそれほど安価なわけではありません。
そのためオーストラリアやカナダといった先進諸国でも多くの人々はプロスカーの4分割の服用を選択しています。
我が国では多くの人が個人輸入でインド製のフィンカーやフィンペシア(これは正式なジェネリックではありません)を入手しています。
私はほぼ大丈夫だろうと漠然と考えているのですが、その安全性について正直なところよくわかりません。

それから、

(1) 効くか効かないか使ってみないとわからないこと。
(2) 副作用のリスクがあること。
(3) 効果は一時的であり、有効だったとしてもずっとやめられないこと。

の3つが薬物治療の欠点だろうと思います。

(1)については服用前に血液検査でわかるという報告もありますが、実態は疑問です。
(3)については、そもそもAGAは遺伝的要因によるものであり、ヘアに限らず体質による病気や悩みは多くの場合薬物を一生涯続けて服用しなければならないと考えた方がよいと思います。
ヘアのサプリメントと割り切って続けた方が良いのかもしれません。
あまりこれを欠点だと思わず、むしろ手術のようにハードルが高くない分気楽に考える方が良いと思います。
問題は逆に薬物治療を続けたのに納得できる効果が得られなかった時のことです。
手術をなりわいとする植毛チェーンクリニックは薬の効果を必要以上に否定的に印象づけて手術にひっぱりこもうとする傾向が強いのですがこれはこれでうっとうしいものです。
逆に植毛技術をもちあわせない“発毛専門クリニック”は必要以上に長い間薬物治療でひっぱろうとします。
8~10ヶ月ぐらいをめどにもしその薬物の効果に納得できない時には他の手段に切りかえる方が賢明かもしれません。
欧米で植毛が盛んに行われているのは発毛剤の効能に限界があるためだとも言えます。

育毛・発毛の現状に二言いわせてもらいます

● 高周波をつかったりして多くの育毛サロンで行われている方法は毛穴につまった皮脂を取り除くことを目的にしていますが皮脂の過剰分泌はAGAの『原因』ではなくテストステロンやDHTの作用による『結果』だと考えます。
結果を改善して原因つまり遺伝的素因(DNA)が変わるわけではありません。
テレビで有名な某育毛サロンでは、効果がみられないケースにはたいてい提携しているクリニックでフィナステリドを処方されます。
フィナステリドで発毛に成功したとしてもその手柄は育毛サロンのものですが、これは少々ずるいと思います。

● “医療発毛”専門クリニックの法外な費用設定は問題です。
フィナステライドとミノキシジル内服薬の併用は現在考えられる一番パワフルな発毛剤だと思いますが、ミノキシジルタブレットが東南アジアでとてもポピュラーになったのは安価で『フィナステリドが高価すぎて買えない所得層にも利用できる』という点によってでした。
某“発毛専門クリニック”などは現在この合剤の処方料を30,000円以上と設定しています。
彼らは、他のクリニックでは検査なし、診察なし、通院なし、効果判定なし、一方自分のクリニックではそれらを十分行っているとしており、その表現の中には費用に合理性をもたせるための露骨な差別化が見え隠れします。
それにしても1ヶ月30,000円以上というのは“薬九層倍(薬は原価に比べて非常に高いことを意味する四字熟語です)”もびっくりの法外な費用です。
長期間、時として一生涯使い続けなければならないかもしれない薬物治療では“リーズナブルに”という条件が絶対に必要でしょう。

当院で扱っている薬の費用

合剤¥7,000(30日分)
ミノキシジル錠剤¥2,400(30日分)
プロスカー(フィナステリド)¥8,000(112日分)

※消費税抜のご案内となります。

 

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