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植毛コラム

第6回コラム植毛術の経済学

多くの植毛クリニックがインターネットやいろいろのメディアで植毛の魅力をうたっていますが、”ヘアがあるべき所にないのはどうしてもいやだ、なんとかしてほしい”という方々にはドナー採取の傷がのこること以外特に将来にわたる問題や後遺症のほとんどないこの手術はとても良い解決策だと考えます。
ただこれには”リーズナブルにそれが行われれば”という前提が必要です。
今回は植毛の費用について考えてみます。

植毛の費用は何を基準に決められるのか?

海外の場合
海外ではほとんど例外なく植毛手術は1株あたりいくらか?で設定されています。
この設定は手術の作業量に比例するので一番合理的だと考えます。
一般的にとても少ない株数ですむケースでは1株あたりの費用が割高になり、逆にメガセッションでは1株あたりの費用は安く設定される傾向にあります。
日本の場合
日本の場合、長い間1本ずつ植える人工毛植毛が広く行われてきたことと、パンチ植毛がほとんど行われなかったので”株”の概念があまり理解されないという歴史的背景があったせいか現在ほとんどのクリニックで1本あたりいくらか?で設定されています。

当院の場合株数と本数の両方を説明しておりますがFUT(すべての株を1つの毛穴単位にする方法)では日本人の場合大体1株イコール2本という相関関係にあります。
気をつけないといけないのはFUTではなくMFU株(ミニグラフト)を使う場合です。
この場合1株の平均本数が2.5本とか3本とかそれ以上になってしまいます。
1株いくらの設定であれば大きい株をつかうと本数あたり費用が安くなりますが、1本いくらだと受ける方々は逆に損をしてしまいます。
1本いくらか?のシステムでは必ず植えつけた実際の株数も一緒にたずねておくべきす。
そして手術費用の総額÷説明をうけた株数で1株の平均費用を計算しましょう。
採取するドナーの面積で費用を設定する場合

採取するドナーの面積で費用を設定するクリニックもありますが、これには3つの問題が生じます。

(1) ドナーの密度は個人差がありこの設定だと密度の低い方は高い方より採れる移植毛が少なくなり不公平です。

(2) ドナー採取や株分けの時の毛根切断がカウントされません。
丁寧に株分けしようとしまいと手術料は同じなので、なるべく移植毛のロスを少なくしようというモチベーションが持てません。

(3) FUTにしようがMFU株とのコンビネーションにしようが手術費用は同じなのでよりきめの細かい手術を目指そうというモチベーションも持てません。
つまりがんばって小さな株を多く作っても、大きな株を雑に作って費用が同じというのではどうしても医師達は安易に流れてしまいがちです。

基本料金について
クリニックによって株or本数による費用設定の他に基本料金(20万円くらいのようです)が加算されるとききます。
全くナンセンスな項目です。
受ける方にとって総額いくらかが問題なのであって、このような項目で費用を水増しすることは海外でもありません。
株or本数ごとの料金を一見安く見せる姑息な手段にすぎません。
ありえないことですが、仮にレストランで勘定をする時に一品ごとの費用プラス”食材費”を請求されたらさぞ驚くことでしょう。それと同じことです。

植毛の費用の適正な相場は?

欧米の場合カリスマ植毛医が例外的に1株10ドルという高額を設定することもありますが、平均的には4~5ドル/株(円高の現在では5~6ドルといった感じ)だと思います。
ちなみにFUEでは1株あたり通常の方法の2倍の費用というのが相場です。
もちろん新規参入の植毛医は競争するためにそれより安く設定ということもあり、海外ではそのような状況で1株あたりの費用は長期的にどんどん下がって現在にいたっています。
それに比べ正直言って日本の植毛費用は外国に比べ2倍程度ととても高額だと思います。
私達植毛医は円高の時代なるべく内外価格差をなくす努力をすべきです。
そうでなければ、結果に不安があるにしても海外で植毛をうけてそこで英気を養ってもおつりがくるという事態にもなりかねません。

日本の植毛費用が高くなった理由は?

日本は土地代、人件費が高くもともと植毛費が高くなる背景があります。
また高額な植毛針をつかう方法が広く行われているのもそれに拍車をかけているようです。
ただそもそも日本にはヘア治療をしている医師が欧米に比べて多くないので競争原理が働きにくいようです。
新規のクリニックが低価格を武器に参入するというよりむしろ横並びの談合体質さえも垣間見られるように思います。
植毛は他の手術に比べて長い時間がかかります。
また退屈で細かい作業の連続です。
日本の多くの美容医療関係者は、二重埋没手術のように短時間で終わる手術をベースにして費用を設定する傾向があるようです。
ただ、100メートル走は10秒台で終わるのにマラソンは2時間以上もかかるからといって”大変さ”で比較するわけにはいかないということです。
この2つは別バージョンの『競技種目』だという意識を医師が持つべきです。
受ける方々は手術の経過ではなくその結果に費用を払うわけですから。

その他に以下に述べる日本の特殊な事情も植毛費が高くなることの要因となっています。

●クリニックの経営者が医療関係者ではないこと
チェーン形式 のクリニックのほとんどは医師でない営利企業(他のヘア関連業、輸入業、飲食業etc.)が医師を雇いビジネスモデルを欧米から購入して、大規模な広告宣伝費を使って集客をはかるために展開しているのでどうしても経費が高くなり、またイメージアップのために著名人や医学部教授達を”広告塔”として使うとそ れらの経費もかかってしまいます。
●植毛業者の”ケータリング
日本の多くの植毛医達はいってみれば”フルタイムの植毛医”ではなく”パートタイムの植毛医”です。
植毛は多くのスタッフが必要ですが、時々植毛を行うクリニックでは常時多くのスタッフを雇っていることができません。
“パートタイム植毛医”をサポートする業者は彼らにとってとてもたよりになる存在です。
実際の手術の時には、業者から”植毛士”と”植毛針などの器具”、極端な場合医師までも派遣され、彼らへの30~50%の”取り分”が発生します。
自分の取り分だけをもらうためにそこのクリニックの医師は手術費が高額だという意識がないようです。
●患者の斡旋や勧誘
ほとんどの薄毛の方々ははじめから植毛を考えていたわけではありません。
はじめに理髪店やヘア関連業者でそれを指摘されたり相談をしたりします。
植毛チェーンクリニックの多くが特定の彼らとの関係を持っています。
それ自体が悪いのではなく”患者のやりとりの金銭授与”が問題です。
以前1人の患者のやり取りで30%ていどの紹介料が動いたという事例も耳にしました。
理髪店やヘア関連業者が過大な親切さを示す場合客としては要注意でしょう。
2000年の日本医師会の医の倫理綱領 (1) (4)には
『医師は報酬や利得を得て患者を斡旋したり、そのような行為をする業者に対し協力すべきではない。また、自分の利益を優先して患者を勧誘するような行為をしてはならない。患者にとって必要であると考えられる場合には、その旨を患者に説明し、患者の希望に応じてしかるべき他医を紹介すべきことは当然であるが、必要な文書料を除き、紹介についての報酬を求めてはならない。』
と定められています。
紹介料が手術費用に上乗せされること自体が、個人情報の売り買いという側面があり、大いに問題だと思います。

以上が私が考える日本の植毛費用が高いことの内幕ですが、この他にも受ける方々にも適正な料金の知識が得られないという背景があるでしょう。
インターネットで海外のサイトを調べると費用の相場がわかるかもしれませんが言葉の問題などでそれも簡単なことではありません。
たとえれば、ラーメン一杯の値段の相場は500~1000円ですが、あるラーメン屋の主人が「オレのラーメンは1万円でも安い」といってその値段で売ることがないのは、そんな高い値段では売れるわけがないからです。

前の項で述べたような国際的な相場があっても、それを大きく逸脱したクリニックが営業を続けられるのはそれを受ける方々の情報不足があるかもしれません。

さらに私達日本人にはとかく”良いものは高い、安いものは良くない”という思い込みもあります。
フランス人がよく使う言葉に「カリテ・プリ(qualite prix)」というのがあります。
英語にすると「カリテ」は”クオリティ”のことで「プリ」は”プライス”、つまり「質とそれに見合う価格」という意味になります。

植毛についていえば、「質」(手術の内容と出来ばえ)と「価格」(それに支払われる治療費)が見合っているかどうかが問題なのです。
治療の内容が?なのにかかわらず海外と比べて常識はずれに高額の治療費を設定しているクリニックがあまりにも多すぎます。

 

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